劇場版 神戸在住
(C)木村紺/講談社・サンテレビジョン
父親の転勤を機に東京から神戸へやって来た19歳の辰木桂は、大学の美術科へ入学し、明るい未来への扉を開けるように大学生活をスタートさせて間もなくの頃、東遊園地で中年の主婦に声を掛けられる。
「震災前は、あそこに私らの家がありましてん。一家5人で住んどったんよ。」
そんな主婦の言葉に桂は神戸に来て初めて阪神・淡路大震災の惨禍に見舞われた街にいるのだということに気づく。
同じクラスの友人、洋子、タカ美、和歌子と桂は三宮、南京町、旧居留地、メリケンパークと神戸の街々をめぐりショッピングに、時にはスイーツに舌鼓を打ち、表面上は充実したキャンパスライフを過ごしているかのようであったが、それぞれが関西出身の洋子たちの時には気さくで時には無神経な、いわゆる“関西のり”にいまいちついて行けず、ナイーブな性格の桂にはどこか違和感があり、素直に心を開くことが出来ないでいた。
そんなある日、桂は元町でギャラリーを営むイラストレーターの日和洋次と出会う。車椅子生活ながら精力的に続けた創作活動が認められ、ジャパンウエストアートアワードを受賞し、絵の売上金を各地の震災復興への寄付金とするなど社会貢献でも注目を集めていた。そんな日和の姿や作品に励まされるようにして、桂のなかで徐々に何かが変わっていく。
そしていつしか彼自身への想いが募るようになるが、下半身の不自由に加え、何か重い病気を患っていることに桂は気づき始める…。